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奥山に紅葉踏み分け

奥山に紅葉踏み分け

こんにちは。友塾英語・社会担当の田中隆祐です。

毎年11月になると、この短歌を思い出してしまいます。

 

奥山に紅葉踏み分け鳴く鹿の声聞く時ぞ秋は悲しき

 

現代語訳は、「人里離れた山の奥深くで、散ってしまった紅葉を踏みながら雌鹿を恋しがって鳴く

雄鹿の声を聞く時こそ、秋は悲しい季節だなと感じられる」といったところでしょうか。

 

私が初めて覚えた百人一首だということもあり、思い出に残っている一句。

これを小学校で習った11月のある日、あまりに気に入ってしまって学校の帰りに連呼していたため、

一緒に下校していた友人もこの句を覚えてしまいました。

ちょうど紅葉が色づき始めたころで、「よくぞ11月に百人一首の授業をしてくださった!」と

国語担当の先生に感謝していた当時11歳の私。

 

他にも「紅葉」が題材の句がありますので、ご紹介しますね。

 

このたびは ぬさもとりあへず 手向山 紅葉の錦 神のまにまに

 

現代語訳「この度の旅は幣を取りととのえることもできません。今はこの手向山の錦のような紅葉を、神よ、どうかお心のままに」(全日本かるた協会ホームページより)

 

「幣」とは、色とりどりの木綿や錦、紙を細かく切ったもので、

旅の途中で道祖神にお参りするときに捧げました。

それらを「とりあへず」、つまり準備する間もないほど忙しかったのです。

「手向山」とは、旅の安全を祈って前述の「幣」を捧げる場所。ほとんどが峠の頂上にあったと言われています。

幣を準備する時間がなかったので、「紅葉の錦」、つまり錦織(織物の一種)のように美しい紅葉を代わりに捧げ、

「神のまにまに」、神様の御心のままにお受け取りくださいという歌です。

 

「神のまにまに」というフレーズが、クラスメイト全員に大きな衝撃を与えました。

「ええ!『まにまに』って何?」と、授業が終わった後みんなで言い合ったことを今でも覚えています。

誰もその意味を理解していなかったのですが、言葉の響きが我々を百人一首の世界に引き込みました。

 

機会があれば、また百人一首を紹介したいと思います。

今回はこのへんで。次回のブログでお会いしましょう。

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